ABAセラピストの教育:BCBAとRBT

  今職員が入れ替わりの時期にあります。名古屋の教室から東京の療育センターに転勤になった職員、出産のため産休をとった職員、結婚退職した職員、次の人生計画に進んだ職員、あれよあれよと小さな教室からバタバタと人がいなくなり、そして誰も・・・ではないですが、びっくりするぐらい同じタイミングで人が去っていき、本当に寂しい限りです。しかし人生いろいろですね。教室から巣立って他の場所で活躍されるのは素晴らしいことですし、喜んで見送ってあげようじゃないですか。そして今日、教室に新しい職員がやってきました。嬉しいですね。捨てる神あれば拾う神あり。なんだかポジティブな気分。さらに嬉しいのは、新しい職員と言っても、同じ会社(エルチェ)の神奈川の事業所から転勤してきてもらった職員なので、既に5年の経験もあり、頼りになります。若くて頼りになりる人がこのタイミングで転勤してくれるなんて、なんてラッキーなんでしょう。今日は教室のみんなも、いつもよりも前向きな感じで…って、いつも後ろ向きじゃないってば。

 さて、ABAのセラピストってどんな人でしょう?日本では「ABAセラピスト」ってざっくりすぎて、どんな訓練をされるのかイメージがわかないと思いますが、アメリカでは大きく分けて2種類います。BCBAのレベルとRBTのレベル。BCBA(行動分析士)のレベルは、大学院まで出た専門家。ABAのプログラムを監督(スーパーバイズ)し、現場で生徒を教えるセラピスト(RBT)を訓練し、その質を保つための専門家。RBTのレベルは、40時間以上の訓練を受けた人になりますが、それだけの訓練では自身で判断し分析することは難しいです。BCBAレベルの人が常にスーパーバイズを行い、そのセラピーの質を担保することが必要になります。今私の教室でも、実際に海外の大学院を卒業して、私の元で実地訓練を受けてBCBAに育てたセラピストが1人卒業して、今まさに私の元を巣立っていきます。BCBAですから、自身で考えて分析し、人を監督するレベルです。巣立った後、ある意味守られた私の教室以外の場所で、今後もしっかりと活躍して欲しいです。

 日本では実際に海外の大学院を出てBCBAを取るのは難しいですよね。日本でも日本の大学や大学院で ABAを学んで、その後私の教室のような場所で実地訓練を受けて、BCBAに準じるレベルに成長される方もおられます。また大学院などまで行かなくても、RBTに準じるレベルで、スーパーバイザーの監督の元、現場のセラピストとして大きく活躍される方もおられます。ちなみに日本ではABAの講座やワークショップ等を受けてABAの訓練を受けても、スーパーバイズを受けずにセラピーをされている場合が多いので、気をつけると良いでしょう。

 ABAは資格がなくても、例えば保護者でも色々と使える要素がたくさんあります。素人でも色々と取り入れることができることがたくさんあります。ただし、何か困ったときに問題をうまく解決できるのは、RBTレベルの人ではなく、BCBAレベルの訓練を受けた人なのです。難しいケースほど、BCBAレベルのスーパーバイザーの威力が発揮されます。やはり根本的な考え方がABAは他のセラピーと大きく違うので、数十時間の訓練では、しっかりと分析力をつけるには足りないのです。実際の現場で言うと、RBTレベルの人だけだとうまく行かないこと自体に気付けない場合も多く、ただ子供が何となく楽しそうなら保護者が満足度も高く、それで事足りてしまうのでしょう。ただし専門家からすれば、見た目が良くても良いセラピーとは限らず、逆に子供がそこまで楽しそうでなくて、非常に良いセラピーであることも、しっかりと見抜けます。センスの良いセラピストがしっかりとしたセラピーをやってくれる「当たり」に出会う確率が、専門家のスーパーバイズによって格段に上がると考えて良いでしょう。

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