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12月, 2013の投稿を表示しています

自閉症の子どもは話せるようになるのでしょうか?

 「私の子どもが自閉症と診断されました。将来話せるようになるのでしょうか?」私の相談室にも時折こういった内容の質問の電話がかかってきます。残念ながら「分かりません。」と答えるしかありません。基本的に自閉症と診断された時点で、何らかの言語の遅れがあると認められた(そうでなければ診断されない)訳ですから、言語の発達に危惧があることは確かです。自閉症と診断される方の中の、会話が完全にできない方もかなりの割合でいるでしょう。ただし私の経験からすれば必ずしも「話せるようにはならない」ということはありません。診断された方の中にも、少数派かもしれませんが将来会話ができるようになる人もおられます。早期の治療教育が功を奏したのかもしれませんし、もともと診断が間違っていたのかもしれません。  「会話が出来る」と一言で言っても、色々です。片言でしか話せない場合もあれば、すらすら話せる方もいるでしょう。一定の質問にはすぐに答えられても、それ以外の質問やコメントには反応しない又はできないような人もいます。通常の会話はできても、会話に含まれるニュアンスがわからなかったり、文字通り捉えられない冗談や皮肉は分かりづらい方もいます。もちろん言語の難しさは自閉症に限られた訳ではなく、自閉症の診断がなくても、同様の言語の難しさを抱える人もいます。  診断をされた時点で、「これまで思い描いて来たものとは違う将来になるかもしれない」という覚悟は必要だと思います。ただし、自閉症とは本当に様々な症状が見られるので、千差万別というか、中々「こうである」と言い難いのです。言語のレベルも様々、こだわりの強さも様々、人間関係の構築度合いも様々ということになります。  さらに言えば、「障害がある」=「何かができない」と考えることは、本人の可能性を否定してしまうことにもつながり、得策ではないかと思われます。パラリンピックに出られるような選手の方は、障害を持ちつつもスポーツを続けておられるかもしれません。両足をなくした方は、もう足を持つことができません。しかし「もう歩けるようにはならない 」「スポーツができない」ということは、必ずしもないのです。「自閉症である」ということは、同じことを何度も繰り返し言うかもしれないし、強いこだわりがあるかもしれません。うまく自分のことが表現出来ないかもしれません。しかしこれは、「将来仕

スクープ:褒めて育てる

 メリークリスマス!!今年も皆様が大切な人と一緒に楽しいクリスマス・年始年末をお過ごしできますことを、お祈り申し上げます! いつも読んで下さっている方、ありがとうございます!  先日清洲城に行って来ました。清須会議で最近少しだけ脚光を浴びている清須市ですが、平成元年に立てられた清洲城では清須会議で使われた衣装なんかも展示されてました。(ちなみに清須市と清洲城、この漢字で合ってます。なぜ違うのかは私には分かりません。)私の教室も清須市にあるので、地元民として一応チェックしておきました。お城前の公衆便所に入ると、小便器のところに面白いサインをみつけました。男性用の小便器に入る芳香ボールってあるじゃないですか?小便器の中に転がしてあって、小便が当たると消臭芳香の機能がある、あれです。それが入っていたんですが、「芳香ボールを盗まない」というサインが貼ってありました。ええ?と思いません?芳香ボールって無数の人の小便がかかっているやつですよ?誰がそれをつまんで盗んで行くというのか?でも、サインが貼ってあるとうことは、誰かがきっと盗んだんですよね・・・。大体芳香ボールって男性用小便器にしか使えないし、ほとんどの家庭では使えないはず。いい臭いを得たいがために、誰かがそれに手を伸ばして持って行ったとでも言うのであろうか?謎です。  こういった「禁止」「ダメ」というサインは、よく見かけますよね。しかしABAベースの教育を行う際は、そういった禁止の指示はなるべく必要最小限にしたいものなんです。間違った行動が起こってから「ダメ!」というよりも、ではどんな行動が望ましいのか考え、褒めたりご褒美を与えたりしてそれを増やすことで間違った行動を減らします。間違った行動だけ減らしても、代わりに何をすれば良いのか指定しない限り、結局問題は解決されておらず、違った形の問題行動になって帰ってくるからです。最近のトイレでは、「きれいにお使い頂き、ありがとうございます。」というサインも現れ始めました。「汚しちゃダメ!」よりは良いかと思います。私たちが子どもとのやり取りする際、気づけば「ダメ!」と叱ってしまいがちですよね。コンサルでも、「こんな問題行動があるので、どうしたら良いでしょうか?」という質問の方が、「こんなことが出来ないので、どう教えれば良いでしょうか?」という質問と同じく多く見かけます。本当は良

小さな問題解決

 先日牛丼が食べたくなりました。松屋さんと吉野家さんがあって、松屋さんの方に行ったんですけど、何故かドアが開かないんです。ガラスの向こうにお客さんが牛丼食べている様子が見えるけれど、何故か自動ドアが開かなくて私は入れない。最近の自動ドアって、ちょっと触ったりしないと開かないようになっているのってあるじゃないですか?そういうのだと思ってボタンを探してガラスを触っていると、なんだか一人でパントマイムしているようで、非常に恥ずかしい。もしかしてドアが違うのかと思って、立ち去るふりをして周りを歩いて行っても、他にはドアが見つからない。恥ずかしくなって結局吉野家さんにしました。もちろん、「ここに入りたかったわけじゃないんだ」、というような演技で立ち去りましたけど。吉野家さんは良いですよ。中に入れる。牛丼屋さんに入れないのって、もしかして私だけでしょうか・・・。  人生ってこういうことですよね。毎日色んな問題がある(私だけかも)。でも、療育では私はわざと「もしかしたらこんな言葉はしらないかも」という言葉を使ってみます。知らないことを言われてどうするのか?それが普通の生活に近いと思います。人の言っていることがすべて分かる子どもっていないじゃないですか?あまりに言葉を子どもに合わせてしまうと、学校や他の場面でそういう普通の問題に打ち当たってパニクったり、問題行動を起こしたりしかねません。(療育の最初の場面では子どもが分かるように言葉を選択するので注意!その後徐々に切り替えていきます。)  それから「消去」のところで少し話しましたが、子どもが問題にぶつかった時にも、「わからないねえ。難しいねえ。」などと共感するようなことを言っても、答えをすぐに教えません。すぐに答えを教えてしまっては、「そういう場面に色々なことを試してみる」という大切な行動が学べません。外国に行った時を考えれば、相手に自分の言いたいことが言えないですよね。その時に、黙っていたら分からないじゃないですか?何か色々、間違っていても、ジェスチャーでも何かした方が、意思が伝わる可能性が高い。何もしなければ、問題行動を起こしていれば、可能性はゼロです。私も松屋の牛丼は食べられなかったけれど、吉野家のは食べられた!それで良いじゃないですか。小さな問題解決。こういう小さな問題を解決出来る場面を一日何度もします。障害がある子ども

イヤイヤ期

 「イヤイヤ期」ってありますよね。英語ではちなみに"Terrible two(ひどい2歳)"なんて言いますが、こういう言い方があるということは、文化を超えて2−3歳という時期が色々と指示に従えない難しい時期であるようです。私の教室にも、朝私の顔を見ると「先生イヤイヤ」と言う子がいます。「おはよう」と挨拶すると、「おはよう、しない」と返します。でも、他の子どもに気を取られていると(無視していると)、わざわざ私の目の前に顔を出して「せんせい、おはよう」と言って来ます。ちょっと指示を与えると「イヤー!」と叫んだり、わざわざテーブルの上に登って「テーブル登る、しない」と自分で言ったりしています(叱られる言葉を先取りしている)。しかし、「イヤ」、「しない」と言いながらも、結局たくさん楽しんで帰って行くし、色々教えられているし、色々観察しているからか、こちらが教えようとしないことまで等色々と学んでもいます。「イヤ」と言いたい、言われたことをやりたくない、やってはいけないと言われたことをしてみたい、という時期なんでしょうね。私も無理に抑えつける様な教育は避けています。  イヤイヤ期はもちろん誰にでもあるということではなく、何の反抗もなくのんびり育つ子どももいます。ちなみに私の母親によると、幼児期の私は何の問題もなく楽に育ち、私の姉は反対に大変だったようです。そうかと思えば、私は40過ぎた今頃でも会うたびに「イヤイヤ」反抗し、万年イヤイヤ期に突入しています。うちの母親は「ああした方が良い」「こうした方が良い」と色々と忠告したいタイプなんですが、私は忠告されるのが嫌いなんですよ(勝手ということか)。うっとうしくなってイヤイヤ言っている私に、母親はいまだに「素直に聞きなさい!」って怒っていますが、言う方も言う方ですよね。40過ぎの男に何言ってんだか。まあ小さい頃楽だからと言ってそれが続くとは限らないということですね。  おっと話を戻すと、治療教育で難しいのは「イヤイヤ期」だからこんなに反抗するのか、自閉症などの発達障害から来る特有の問題行動なのか、なかなか区別がつきにくいことでしょう。2−3歳だからと放っておいて良い問題なのか、積極的に改善させようとした方が良いのか、難しい時もあるでしょう。基本は問題行動が学びの障害になっているか、そうでないか、こちらはそれに合

性格タイプと失敗しやすい問題1:「ほっとけない」タイプ

 お久しぶりです。何ヶ月かぶりのブログ再開です。  名古屋で仕事を面始めてから約1年になり、おかげさまで順調にお客様も増えてきました。なんだか突然忙しくなったような感じで「わたわた」してましたが、やっと気持ちが落ち着いて来ました。突然ですが、最近テレビなどでも紹介された「あべこべ体操」って知ってます?普段使わない様な筋肉の動かし方(体の部分をあべこべに動かす)をすることで、肩こりをほぐすんだそうです。私は結構「健康系」のもの好きなんですよ。テレビを見ながらやってみたのですが、あべこべにするって、本当に難しいですよね。テレビで見本を見ても体操の真似が中々できなくて、イライラする。新しい仕事を始めるって、そんな感じですかね。今まで使ってない筋肉を使うというか、今までやったことのない生活習慣のやり方で、実質上の「忙しさ」というよりも生活習慣の変化とか気持ちの切り替えに体がなかなかついて行っていなくて、必要以上にぐったりする印象です。加えてこの何ヶ月かで引っ越しもしたり、私的な人間関係でも色々あったりで、大変でした。まあブログネタも色々あったかな?またボチボチですが、これからもブログでお知らせしていきますね。よろしくお願いします。  ちなみに皆さん背中で両手を(片方を肩の上から、もう片方を肩の下から曲げて)合わせられます?テレビでは「あべこべ体操」をした人が、体操終わった後でこれまで触れなかったのに触れるようになった!っと言っていましたが、私は全然でした。どういうことだ?誰か効果があった人あったら教えて下さい。  今回は、私が臨床で観察して来た子ども達の性格のタイプと、その子ども達の陥り易い問題等を取り上げます。第1弾は、「ほっとけないタイプ」または「省エネタイプ」と読んでいます。 これは、自分のエネルギー(労力)をなるべく使わないで生活しようとするタイプ。困ったことがあっても、できるだけ自分から積極的に行動したりせずに、「困ったなあ」と困ったまま待つことが多く、そのため周りの人が「ほっとけない」とつい思って手伝ってしまうため、周囲から色々とやって貰うことが上手です。こういった人は、世の中に必要ですよね。人の世話を見たい人はいくらでもいますし、逆に体を動かして精力的に行動する人よりも「もてる」タイプかもしれません。自閉症に関わらずよくある性格のタイプだと思いますが、発