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社交スキルを周り全体が教える

 名古屋でアイズサポートという療育支援の会社が、3周年記念講演を行われるという事で、昨日土曜日に参加させて頂きました。実は地元の中日新聞でも取り上げられておりまして、名古屋でも色々療育支援の会社が育ってきていて、本当に嬉しい事です。親からしたらやっぱり療育も選択肢がないと。  金沢大学名誉教授の久野能弘先生も午後から発表されていました。失礼なこと言いますが、久野先生のインパクトに圧倒させられましたね。これが面白い、面白い。面白すぎてついお昼ご飯までついご一緒させて頂いたんです。毒舌って言うんですかね。痛烈な批判も大きな声で実名を出してガンガン言ってしまう。「あれ(ある有名なABAの療育家のサービス)やっとったら、子供がダメになるぞ。」とか、「臨床心理士のの○○知ってるか(たくさん本も執筆されている超有名な方です)?あれだけ嘘がつければそりゃ本も売れるわ。・・・あれの患者さん死んだよ。人を助けるより殺した方が多いんちゃうか。」とか、他にも次から次へと敵を作ってらっしゃる。さらに、「だから俺は不適応を起こしてクビになって・・・」なんて言われて、生徒さんから「(クビじゃなくて)退官されたんですって」と。やはりこういった他者批判から自己卑下のコメントまで含めて、久野先生ならではの会話のサービスというか、ボケと突っ込みのボケということでしょうかね。聞き手が突っ込むことが期待されている。この辺関西育ちじゃないと難しいですよね。私はぼんやりしている系なので、「そうじゃないですよ。」とか否定したり突っ込まなきゃ行けないところでも「はあ。そうですね。」なんて同意してしまったりして、聞き手スキルというか適切な社交スキルが育っていない。せっかくの会話を膨らますことができてない。「すみません。うなずく所じゃないですね。」と言うと、「日本ではうなずいとったら生きておれへんぞ。」と、ぴしゃり。やっぱり頭も切れる。先生は毎日ブログも書かれているようで、面白いので読んでみて下さい。  アイズサポートの代表の伊藤さんの講演も大変丁寧で良かったですよ。4年目に突入ということですが、一つ一つ丁寧にケースを考えておられるようで、真摯で真面目な姿勢が印象的でした。こういった療育の場が本当に増えると良いと思います。  ところで社交スキルと言えば、お客さんで高機能の方の就労支援、ジョブコーチをされている方

自閉傾向のある子「壊れたチーズバーガー」Good morning Americaより

 今朝アメリカの朝番組である「Good Morning America」で紹介されたストーリー(ヤフーのニュースを通して)を見ました。良い話なんで、ちょっと訳しておきますね。  ユタ州の7才の自閉傾向のある女の子、チーズバーガーが大好きなんです。ある日レストランでチーズバーガーを頼み、テーブルに運ばれて来たら、全然手を付けなかったそうです。フライドポテトだけ食べてました。お姉さんがどうして食べないの?と聞くと、「欲しくない。壊れてる。直したのが欲しいの。」と言ったようです。実はチーズバーガーは半分に切られていたんです。でも半分に切っちゃ行けないなんて特別な要求って、あまり普通には聞かないですよね。お姉さんが、そういう要求は理解してもらえないと思って、半分に切られていないものをもう一つ余分に注文したらしいです。でも、お店の人がその特別な要求をしっかり受け取ってくれて、「とんでもない。お金なんて取れませんよ。」って言って子どもに謝って優しく接してくれて、「直してくれた」らしいですよね。半分に切らずに。チーズバーガーが届くと、その子「ありがとう。チーズバーガー直してくれた」って喜んでチーズバーガーに何度もキスをしたそうです。  お姉さんがその写真を取って、レストランのサービスの良かったことをFacebookに載せた所、それが22万以上もの「like(いいね)」と10万以上のコメントにつながったらしです。レストランのマネージャーはその後Autism Speaks(自閉症をサポートする組織)の代表者からもお礼の電話があったようです。  ちょっと良い話でしょ。

個別教育目標・IEPその1:個別性

 先日東京を訪れた時の話をしますね。大学生時代に東京に住んでいたんですが、もう10何年前の話なので、町並みが新鮮に映ります。新宿なんか凄い人数の人が歩いていて、特に朝よりも夜の方が人が多い印象でしたね。夜11時でもすごい人が流れている。名古屋とは人口が違いすぎるなあ、何でこんな人数の人が生活していて大混乱にならないんだか不思議だと思いません?あれで地震なんかあったら大混乱で人波にやられそう。昔のゴジラの映画みたいになるんだろうか。女の人がキャーって叫んで。怖い怖い。まあ名古屋の方が南海トラフ地震予想などでやばいと言われているか。てな事を考えながらついぼんやりしてしまいます。口を開けて歩いてなかっただろうか。歩く事に集中できてない。ただでさえこんなようにぼんやりしているのに、さらに地方から来るとビルの上の方にある看板広告などに視線を奪われて、何となく上向いて歩いちゃいますよね。ビルで空が狭くって、しかも色々な広告で情報過多になり、どうしてもフラフラ歩いてしまう。地方出身者か観光客であることがバレバレですよね。ふと、「このままフラフラしているとぼられるかもしれない」と、地震よりもより近未来に起こりそうな現実に引き戻されます。ただのカラオケの呼び込みの人たちにも、何となく「この人に言葉巧みに騙されるかも?」とか、東京の人がみんな私を狙っているかのような被害妄想になるので、さらに怪しい物腰になり、しかも鞄をしっかり持つので必要以上に肩が凝ります。今回は特に迷わずに帰ってこれましたが、地方の人が東京に出るとこんなに大変なんですよ。え、私だけ?  知らない(久しぶりの)土地を探索するということでも、人ぞれぞれですよね。知らない場所ということですから、どの人もそれなりにストレスはあるでしょうが、特に看板なんかにとらわれない人もいれば、気を取られて他にぶつかってしまう人もいる(東京に住んでいてもそうなる人もいると思う)。私のように考え事でぼんやりしてしまっている人もいれば、ちゃんと目の前のこと(歩く事)に集中出来る人もいる。呼び込みや客引きに対応するのも気にならない人もいれば、やけに丁寧に対応してしまう人もいるでしょう。自閉症などの発達障害の治療教育では、その個別性に重点を置く事が必要となります。  私の尊敬するアメリカの学校の校長先生がいたのですが、その校長先生の意見によると

その先へー「福祉、自閉症、治療、教育」への補足

 前回、東京でのセミナー講演の話をして、アメリカの実際のところというか、夢のような国でもないよというような視点を紹介しましたが、今回はその補足です。実際の国ですから、それは夢のようなことばかりでは無いのも当然です。セミナーではあまり私の意見は言いませんでした(言っちゃっていたような気もする)が、ここは私のブログなので私の意見も継ぎ足しちゃいますね。  私の前に講演して下さったNPO法人発達わんぱく会理事長の小田先生が、詳しく福祉の制度について説明して下さいました。( ちなみにADDSさんからの報告のブログはこちらまで。 )ちょうど私の講演の部分と足らない部分を補う形になって、良かったと思います。私もずいぶん勉強になりました。  日本の福祉・教育はどういう方向に向いたら良いのでしょうか?私は現状のシステムを徐々に改善することが一番だと思います。日本でも2012年から「児童福祉法」といった福祉の法改正から、自閉症、発達障害児への早期の治療教育が公的に援助される可能性ができているわけです。しかし、小田先生も指摘されていたように利用する企業が比較的少ない。老人ホームなんかを見てると、最近の法改正により本当に今たくさんの企業が経営に参加していますし、あの勢いとは比較にならないですよね。あくまで私の勝手な推測ですが、理由の一つとしては、福祉の法律なので当たり前ですが、どちらかと言えば福祉の関係者からの発想でできており、心理・教育の関係者との連携にまだまだ改善の余地があるからかもしれません。ちなみに小田先生も社会福祉士(ソーシャルワーカー)ですよね。治療教育を行うとすればその専門家は心理・教育の分野にいますから、社会福祉士などの福祉の専門家が、心理・教育の専門家が連携してより良いものになるものだと思います。もちろんどちら側の発想も重要です。現在児童福祉法が福祉の法律であることは確かなのですが、心理・教育側の意見もしっかりと取り入れて今後法律を改善していく余地があると思います。  もう一つ重要なのは、治療教育の質です。現段階では、社会福祉士、保育士、臨床心理士、作業療法士、言語療法士などの専門家を雇うことが明確にされている以外には、特にサービスの質をどうやって管理し改善して行くことが法に直接書かれていない。研究の結果明らかになっている治療教育の方法を使う事を義務づけたり、国全

福祉、自閉症、治療、教育

 先日(3月3日)自閉症の早期教育を根付かせようと頑張っておられる、NPO法人 ADDS さんのセミナーに呼ばれて東京に行ってきました。今回は講演する側ということでしたが、自閉症児を持たれる親御さんや治療教育関係者など100人を超える方が参加して下さい、ありがとうございました。日本でも自閉症治療教育への関心の高まりが感じられ、はっきり言って意外でした。というのも、アメリカから帰って来てある日本の親御さんの体験談を聞くと、自閉症の診断を受けた時は「そのまま受け入れてあげて下さい」というようなことを言われ、特別にABAなどの療育についても紹介されなかったとおっしゃっていました。事務所の近所の特別支援の幼稚園では、「ええ、毎日やるんですか?ABAの先生も一度来られたけれど、ABAは月に一回とかやるものだと思っていました。」と言われました。日本では治療教育について誰もまだ知らないのではないか、という漠然とした印象を受けていました。しかし会場では明らかにかなりの知識を持たれた方からの質問が続き、あまりに対照的で新鮮でした。日本でも知っている人は知っているんですね。逆にそう言う知識を持った人の集まりが今回のセミナーであり、新しい動きの象徴であるのでしょうか、自閉症の治療教育についての知識と経験が徐々に培われつつあるんだと感じました。私の講演の内容について興味のある方は、ADDSさんが ブログ の方に報告してくれていますので、よろしければそれも合わせてごらん下さい。100人を超える参加者を集められたADDSさんと、それを支えられた裏方さんに感謝します。学生セラピストさんが託児までしていただいたようで、ありがとうございました。  今回の講演については、「アメリカの事例を紹介して下さい」と依頼を受けました。アメリカに12年もいたんだから、そりゃ紹介くらいは簡単にできます。しかしスライドを作るにつれて、本当にこんな事知りたいんだろうかという疑問がわきました。みんなアメリカの進んだ療育の話はよく聞きますよねえ。親からしたら、今すぐ手に入らない物の話を聞かされても、はっきり言ってやってられないですよね。スライドを見ると、「羨ましいでしょう?20年後にこうなるかも?日本もがんばろう!」という感じになってて、そんな話セミナーで聞いて帰って、自宅で自分の子どもの療育の現実を目にして、頑張ろうと

学び方それぞれ

 おじいちゃんと一緒にモーニングを食べに行ってきました。「モーニング」ってご存知ですか?名古屋地方で喫茶店に行くと、「モーニングサービス」と称して、コーヒーや紅茶を頼むと、簡単な朝ご飯がサービス(=ただ)でつくんです。良いでしょ?今回は喫茶店ではなくって、コーヒーも飲める喫茶室付きのパン屋さんだったんですが、320円で、コーヒーと160円までの調理パン(種類は色々)が2つ選べるんです。しかも小さなクロワッサンに生クリームが入ったものは、勝手についてきました。すごいでしょ?おじいちゃんは、胃がん手術後順調に月に1キロ体重を増やし、すでに全回復に見えます。さすが。朝ご飯を食べてからでかけたのに関わらず、大きなパンとクロワッサンも普通に食べて、甘いものは「別腹」と言い切っていました。手術で胃を3分の2切り取ったはずなんだけれど・・・。「食べれるようになったね。」と言うと、「まあ、最初の頃は口に手を突っ込んで戻しとったけどな。」と語っていました。やっぱり無理していたか。でも、普通手術後そんなに無理して食べるか?  春の陽気の暖かさに、車いすのおばあちゃんと歩いて行きました。やっぱり車いすを押して移動するって、やってみないと不便さは分かりませんね。道路も普通に歩ければば何ともないのだけれど、微妙にちょっとした傾斜がかかっていたり、歩道に入るところに段差があったり、車いすを押すからこそ色々なこ とが目 に見えるようになる。というか、ちょっと歩くだけでかなり疲れる。私が疲れるくらいだから、これはおじいちゃんが車いすを押して歩いて行けないはずだ。喫 茶店でも、入り口の片方はドアの所の段差が気になるし、出口はスロープがあるが自転車が止められていて自転車を動かさなければ出られない。障害者がどんなところで問題に突き当たるのか、どんな所が難しいのか、本当にみんな体験してみなければ分からない。   自閉症の療育は、結構「やってみなければわからない」所が多いと思います。自閉症なんて一概にひとくくりにされているけれど、本当に色んな症状があるんです。ですからそれぞれの問題もかなり異なっていて、車いすのように皆が同じような問題にぶつかるとは言い難い。一般に自閉症の人は、ビジュアルというか視覚を使った教え方が有効であるとよく言われます。これは、耳で聴覚から聞いた言葉はそのまますり抜けてしまうけれど

療育中の気持ちの浮き沈み

 今日で3・11から2年目になりますね。昨日・今日はテレビや新聞等でも特集が組まれていますが、本当にゆっくりとしか復興が進んでいなくて「将来が見えない」ということに不安を募らせている被災者の方も多いようです。また、最近は「忘れられてきている」と感じている被災者の方が多いような報道を見ます。私も地震があってすぐは募金などをしたんですが、最近は気になっていつつも何もしていないです。全国にも「気になってはいつつも・・・」という方も結構多いと思います。気持ちだけでは伝わりませんから、何か行動にして、形にして気持ちを伝えなければいけませんが、なんだかぼやぼやしている間に時間が過ぎてしまう。ブログに書くだけでも、何もしないよりはましですかね・・・(勝手なことを)。どうか復興に向けて頑張って欲しいです。名古屋地方の中日新聞では特に3・11などの記念でない日にも一面に、「犠牲の灯り、第2部 飯館 女たちの哀歌」のシリーズとして被災者一人一人のストーリーが綴られています。本当にものすごいドラマが展開されていて読み応えがありますが、こういった現実を語り継いで、忘れないようにしなければいけませんね。ちなみに、中日新聞のこのシリーズに興味のある方は、ウェブサイト上で簡単に読めますので検索してみてください。   思えば自閉症の診断も、地震のようなものかもしれません。人口の何パーセントかは必ず診断されるものということですから、確立で言えばどの家庭にも起こる可能性はある。しかもどういう生活習慣や食べ物、環境要因を避ければその確立を下げられるのかも分かっていないのですから、防ぎようもない。(そう言えば、半年くらい前ですがアメリカの新聞記事で、父親の年齢が高いと自閉症診断の確立も増えると出てましたかね。まあ父親の年齢が高ければ他の病気のすべての確立も高いのですが。)診断されれば、普通に思い描いていた人生計画というか、子どもに期待していた予想図を完全に崩されて、療育や特別支援教育などといった新しい道筋を建てることを余儀なくされる。多くの親から、「診断された日はもう二日間泣いた。それからどうしようか考え始めた。」と聞きます。こういう人生の大きな局面で色々なドラマがあります。  早期教育をしていると、親の悩みや感情の浮き沈みのドラマに常にさらされているような感じですね。子どもの成長が目に見える時は、「

ABA:シンプルな行動の理由

 最近合気道を始めました。私実は武道一切やった事無いんです。もちろん義務教育中の体育の授業でやらされる柔道とか剣道を除きます。私子どもの頃はそう言うの絶対嫌いでしたね。でも、大人になってやってみたくなる事もあるでしょう。でも人にこのことを話すと、まず「ええ?」と驚かれ、その次に「何で?」「どうして合気道?」「やったことあるの?」なんて聞かれます。私は時折こういったあまり脈絡のない行動に出ます。昔髪の毛を坊主刈りにした時も色々聞かれました。私からすると「別にやってみたかったから」とか「格好良さそうだから」「体に良さそうだから」程度の理由で始めたことだし、深い意味はないので、聞かれると答えづらい。あんまり人から聞かれるものだから最近は、「日本に帰って来て、日本らしいものを始めたかったから。」とか、「合気道は試合がないから、怪我が少なさそうだ。」とか、人が納得しそうな理由を探し始めました。はっきり言って面倒くさい。どうして皆「理由」を求めるのでしょうね。何か理由が無ければ行動を始めて行けないのだろうか。   その点行動分析学は私には最高に合っている。行動が起こる理由というのをシンプルに分析する。というか、あまりにもシンプルすぎて逆に一般受けしづらい傾向がある。心理学のその正反対にあるのは、精神分析だと思います。行動が起こる理由を深〜く分析する。同じように逆に深すぎて一般受けしない。私は頭が比較的シンプルなのか、行動分析を学び始めたときは、「これだ」と思いましたね。行動を増やす強化とか減らす消去とか、とりあえず確実に分かる事、証明されている事を使って行動を分析しようとしたり、行動を変えようとするやり方が行動分析学(ABA)なんです。もちろん行動の科学で行動すべてが解明されている訳ではないし、これまでの研究の成果がが新たな研究の成果によって覆されることもあるのですが、それが科学というものです。少なくとも「専門家」の勝手な推測や理論によって振り回される可能性が少ない。  昔自閉症の子どもは、「親が冷蔵庫みたいに冷たいから子どもが心を閉ざしてしまった」と分析されたりしたのご存知ですか?「専門家」にそう言って言われた親って、ただでさえ学習が困難な子どもを抱えいるのに、さらにその問題の原因とされてしまっていた親って、どうやって過ごしていたんでしょうか?絶望的ですよね。行動分析(A