2013年3月11日月曜日

療育中の気持ちの浮き沈み

 今日で3・11から2年目になりますね。昨日・今日はテレビや新聞等でも特集が組まれていますが、本当にゆっくりとしか復興が進んでいなくて「将来が見えない」ということに不安を募らせている被災者の方も多いようです。また、最近は「忘れられてきている」と感じている被災者の方が多いような報道を見ます。私も地震があってすぐは募金などをしたんですが、最近は気になっていつつも何もしていないです。全国にも「気になってはいつつも・・・」という方も結構多いと思います。気持ちだけでは伝わりませんから、何か行動にして、形にして気持ちを伝えなければいけませんが、なんだかぼやぼやしている間に時間が過ぎてしまう。ブログに書くだけでも、何もしないよりはましですかね・・・(勝手なことを)。どうか復興に向けて頑張って欲しいです。名古屋地方の中日新聞では特に3・11などの記念でない日にも一面に、「犠牲の灯り、第2部 飯館 女たちの哀歌」のシリーズとして被災者一人一人のストーリーが綴られています。本当にものすごいドラマが展開されていて読み応えがありますが、こういった現実を語り継いで、忘れないようにしなければいけませんね。ちなみに、中日新聞のこのシリーズに興味のある方は、ウェブサイト上で簡単に読めますので検索してみてください。
  思えば自閉症の診断も、地震のようなものかもしれません。人口の何パーセントかは必ず診断されるものということですから、確立で言えばどの家庭にも起こる可能性はある。しかもどういう生活習慣や食べ物、環境要因を避ければその確立を下げられるのかも分かっていないのですから、防ぎようもない。(そう言えば、半年くらい前ですがアメリカの新聞記事で、父親の年齢が高いと自閉症診断の確立も増えると出てましたかね。まあ父親の年齢が高ければ他の病気のすべての確立も高いのですが。)診断されれば、普通に思い描いていた人生計画というか、子どもに期待していた予想図を完全に崩されて、療育や特別支援教育などといった新しい道筋を建てることを余儀なくされる。多くの親から、「診断された日はもう二日間泣いた。それからどうしようか考え始めた。」と聞きます。こういう人生の大きな局面で色々なドラマがあります。
 早期教育をしていると、親の悩みや感情の浮き沈みのドラマに常にさらされているような感じですね。子どもの成長が目に見える時は、「もしかして健常児の教室にいけるかも」と期待で親の胸もいっぱいになりドキドキし、顔を見ただけでもその嬉しさが感じられる。でも、あまり成長が実感出来ない時には、「ああ、やっぱり無理だったか」なんて沈んでしまいます。時には、「ABAはダメかな。他の解決策はないのだろうか?検索してみようか?え・・と、GFCFダイエットって何だ?」と、色々な方向に手を出そうとします。(ちなみにGFCFとは、食事の中からグルテンなどの小麦や乳製品中のタンパク質を除去すること。グルテン等にアレルギーのある人には効果大。自閉症に効果があるとは特に報告は出ていないが、効果があったという体験談は聞かれる。)療育に携わる立場からは、「その場だけの成長度合いで一喜一憂せずに、長い目で見て療育を続けて下さい」とお伝えしますが、こういった感情の浮き沈みはどうしても仕方がないと思います。逆に言えば、こういった親の浮き沈みをどうやって支えて、どうやって前向きに持って行けるか(親のサポート)が療育家にとっては大切であるとも思います。
 どの子どもも成長は直線ではなく、時に大きく成長したり時には横ばいだったり、下がって見えたりするのです。上り下がりを繰り返しても大きな目で見て徐々に成長している限り、特に問題はない。だから今横ばいだからといって、そこで気持ちを沈めたり、療育を変えたり止めたりする必要は必ずしもないのです。私の経験からすると療育を始めた頃は、特に早期で始めた場合は子どもの行動に大きな変化があることが多いので、特に問題がない。ただし半年くらい経って来ると、「最近は前程成長がないし・・・」なんて親から言われることが時折あります。面白いのは、「最近前程成長がない」と言う親の子どもを見ると、療育する側からすると「ええ?こんなに成長しているのに・・・(ええ?同じ子の話をしている?)」と思える事が多いんです。私が子どもを見ると、明らかに前に出来なかった事ができるようになってて、実生活でも使えるようになってきていて、他の子にも興味を示し始めている。指摘すると親も「ああ、そうだね」と喜ぶけれど、それでも「成長してる」と実感できない。これは、私が親に「小さな変化に気づく目とそれを喜ぶこと」を伝授できなかったからかもしれません。
 だいたいどの子どもの療育をしていても、親に「小さな成長に気づいて行く目」を育てる必要があります。療育というのは、健常児が普通なら何もしなくても勝手に学んで行くことを、手を変え品を変えというか、色んな方法を試しながら子どもに合わせて教えて行く課程なのです。健常の子どもと比べれば本当に小さな成長であったとしても、自閉症の子どもが同じ事を学ぶには、背景に教育の時間だけでなく教材を変えたり、教え方を考えたり、ご褒美や面白くなるような遊びを考えたりといった裏方の時間が何十時間もかかっている場合が多いのです。療育の専門家からすれば、逆に本当に小さな課題を達成しても、「よっしゃー」って大声で応援して行かないとやってられない。しかし、やっぱり親からすれば、すぐにでも変化が欲しい。特に同じくらいの年齢の健常児と接する機会の多い家庭(例えば親戚の子どもとか、近所の子どもとか)だと、もちろん良い意味での刺激もすごく多いのですが、反面無意識のうちに比較してしまいやすい。また、「就学までに健常児の学級に入れる。」といった、具体的にどうすれば良いのか分からない目標をたててしまうと、成長をどう評価して良いかも分からずに、目標に近づいていないような焦りだけが先走りしてしまうこともある。
 書いていて、これは普通の教育と同じだなあと思いました。「東大に入る」なんて目標だけたてても、実際に一つ一つの数学や英語の問題ができるようにならなければ、しかも問題が解けるようになったことを一つ一つ喜んで前向きにやる気を出して行かなければ、勉強も長続きしないです。ちなみに私も受験の時は、「アルファー波を出す音楽を聴きながら、寝ている間に日本史を覚える」なんて都合の良いことをうたい文句にしている教材を買ってみた事もありました。当然効果がある訳がない!?今考えれば、熟睡してアルファー波なんて出てたのかな?自閉症などという大きな課題を目の前にしたら、それは安易な考えにも走りますよ。簡単な解決策があれば良いのにね。これは自閉症に限らずですけどね。目の前にある課題を一つ一つクリアしてくしか、先はないんです。長い道のりだけに、焦りは禁物です。クリアできた課題一つ一つを喜んでいかないと途中でばててしまいます。逆にその課題解決の一つ一つを楽しんでいきませんか?

3 件のコメント:

  1. はじめまして。
    アスペルガーの診断を受けています、5歳の男の子、ゆうの母です。
    少し前に、姉が知り合いから伺ったとのことで、先生のお名前を知りました。
    時間のある時に、HPやブログを拝見して、勉強させて頂いております。
    『小さな成長に気づいて行く目』・・・忘れずにいたいと思いました。
    もうすぐ4歳のころ、やっと指さしをして(それまではクレーンでしたから)『とって』と言えた時の感動・・・
    5歳の誕生日が近づいたころ、『立派な口答え、するようになったよねえ』と、主人と笑いあったこと・・・
    本当に、浮き沈みはあります・・・これは、ゆうにとってはあまり良くないことなのかもしれません・・・でも、私たちも人間だもの・・・と、若干割り切っているところもあります(汗)
    でも、こんなにも小さな成長で、こんなにも大きな喜びをもらえるのは、やっぱり私たちの息子が、アスペな所もひっくるめてのゆうだからだと思うんです。
    この記事を拝読して、この気持ちは忘れてはいけないなあ、と、改めて思いました。
    ありがとうございました。

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  2.  本当に人生色々なことがあって、分かっていながら一喜一憂しますよ。「一喜一憂してはいけない。」なんて真面目にとらえ過ぎると余計に沈んでしまってしまい、逆効果ですよね。特に真面目なお父さん、お母さんは、「私なんかまだまだ」なんて、頑張っている自分を強化できないと疲れてしまいます。「親として私はこんな成長してるよ。」ってお父さんお母さんが張り切っている家庭は、自閉症、アスペなどの診断名に関わらず、子どもも楽しいですよね。
     ちなみに、「口答え」が出来ると良いですよねえ。「ずる」とかも。生きて行く上で、ちょっとは自分勝手な方が良いと思います。

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  3. お返事、ありがとうございます。
    確かに私はまだまだ親修行中、といったところなんです(笑)・・・でも、先生がおっしゃるように、私頑張ったよね、と、自分を時々ほめて甘やかす様にしています(笑)。
    頑張らなきゃ、と思うことは山ほどあれど、やっぱり私が笑顔でいる時が、息子も安心していろいろ頑張れるようなので。
    ちなみに、口答え・・・できるようになって、良かったです。
    『こんにゃろ・・・』と思うことも多々ありますが、自分の思いを口にすることで、確実にかんしゃくが減りました。
    うれしい時も、くやしい時も、ちょっと所でなくたどたどしくても、言葉にすることで、相手に伝わったり、共感してもらえることを、息子なりに学んだんだな、と思います。
    先生のお返事を読んで、肩の力が少しぬけました。
    ありがとうございました。

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