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2016年日本行動分析学会ポスター発表

 大阪市立大学で行われた日本行動分析学会に参加してきました。日本の行動分析学会では、私は特にポスター発表が好きなんですよね。発表の質が良いということも理由の一つなのですが、参加者(聴衆)が一つ一つのポスター発表を真剣に聞いてくれている感じが良い。アメリカの学会のポスター発表はなんとなく社交場なイメージがあって、終了15分前にはみんな片付けていなくなっちゃうこともあるのですが、日本のだと時間が終わってもみんなまだ真剣に話し込んでいる。発表者も楽しそうです。  今回の私のイチオシは黒田君のゼブラフィッシュの発表ですね。(黒田君って言っても、愛知文教大学の専任講師の黒田敏数先生です。)ゼブラフィッシュの何がそんなに面白いのかと言うと、黒田先生曰く、ゼブラフィッシュは染色体の中身が完全にわかっている生き物の一つで、そのために医学の分野などでは個体の違いが完全に把握できる研究対象として、ネズミや他の動物よりも最近注目を浴びている動物なのだそうなのです。行動分析の分野での基礎研究ではネズミや鳩の研究が多く、ゼブラフィッシュの過去の研究はほとんどわかっておらず、行動の特徴などもこれから解明するしかないようです。しかし、行動の科学で培われた研究方法を使ってそういった動物の行動を研究することで、医学やその他の分野では解明されなかった事実が解明されることもあるように思います。何よりも黒田君の発表の表情が本当に楽しそうで、やはり新しい誰もやらない分野の喜びというものがあるのでしょうか?まあ応用の分野にこういった基礎研究の結果が反映されるまでには10年単位の時間が必要なのでしょうが、やはり日本は基礎研究が得意ですし、新しい発展を期待したい。  もう一つは、常磐大学の助教授の菅佐原先生の携帯アプリにおけるゲーム場面での課金行動の研究ですね。「ゲームの課金行動」って・・・・こうなると自閉症とは一切関係がないようにも思われますが、うーん、やっぱり普段ない知的な刺激を求めているのでしょうか?  とにくかく、基礎研究の方の言われる意見というのは、刺激がある。普段臨床現場では当たり前に無視してしまっている大切な行動の原理や、当たり前にやっているが何の科学的実証もない習慣など、「やっぱり行動の科学をやっている人として、おかしいんじゃないの?」と単純な疑問を率直に投げかけられてしまうのです。  よ