その先へー「福祉、自閉症、治療、教育」への補足

 前回、東京でのセミナー講演の話をして、アメリカの実際のところというか、夢のような国でもないよというような視点を紹介しましたが、今回はその補足です。実際の国ですから、それは夢のようなことばかりでは無いのも当然です。セミナーではあまり私の意見は言いませんでした(言っちゃっていたような気もする)が、ここは私のブログなので私の意見も継ぎ足しちゃいますね。
 私の前に講演して下さったNPO法人発達わんぱく会理事長の小田先生が、詳しく福祉の制度について説明して下さいました。(ちなみにADDSさんからの報告のブログはこちらまで。)ちょうど私の講演の部分と足らない部分を補う形になって、良かったと思います。私もずいぶん勉強になりました。
 日本の福祉・教育はどういう方向に向いたら良いのでしょうか?私は現状のシステムを徐々に改善することが一番だと思います。日本でも2012年から「児童福祉法」といった福祉の法改正から、自閉症、発達障害児への早期の治療教育が公的に援助される可能性ができているわけです。しかし、小田先生も指摘されていたように利用する企業が比較的少ない。老人ホームなんかを見てると、最近の法改正により本当に今たくさんの企業が経営に参加していますし、あの勢いとは比較にならないですよね。あくまで私の勝手な推測ですが、理由の一つとしては、福祉の法律なので当たり前ですが、どちらかと言えば福祉の関係者からの発想でできており、心理・教育の関係者との連携にまだまだ改善の余地があるからかもしれません。ちなみに小田先生も社会福祉士(ソーシャルワーカー)ですよね。治療教育を行うとすればその専門家は心理・教育の分野にいますから、社会福祉士などの福祉の専門家が、心理・教育の専門家が連携してより良いものになるものだと思います。もちろんどちら側の発想も重要です。現在児童福祉法が福祉の法律であることは確かなのですが、心理・教育側の意見もしっかりと取り入れて今後法律を改善していく余地があると思います。
 もう一つ重要なのは、治療教育の質です。現段階では、社会福祉士、保育士、臨床心理士、作業療法士、言語療法士などの専門家を雇うことが明確にされている以外には、特にサービスの質をどうやって管理し改善して行くことが法に直接書かれていない。研究の結果明らかになっている治療教育の方法を使う事を義務づけたり、国全体として研究を使って治療教育を常に改善して行くという心構えが必要だと思います。講演でも言った通り、アメリカの教育の法律であるIDEA(Individual with Disabilities Education Act)のパート4にあたるような、教育の改善、研究の推奨、研究の結果を直接活かした治療教育ということを、今後法改正する際にはしっかりと位置づける必要があるでしょう。
 私は日本に帰って来てまだ半年経っておらず、日本のシステムに対する知識は低いと言わざるを得ないので、私の意見もこれから色々勉強する事で変わってくると思います。色々と勉強して、日本のシステムの改善に貢献出来たら素晴らしいですね。

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