私の子どもって成長しているのでしょうか?

 「私の子ども、成長しているのでしょうか?」これは私のところに療育に通って来てくれている親御さんからよく聞かれます。面白いことに、いい具合で成長されているお子さんのお母さんからよく聞かれます。療育の会話の中で、「良いですね。成長していますね。」と言うと、「え?全然成長していないと思ったのだけれど、先生がそう言うのならそうなんでしょうね。」と言われるお母さんも結構多いです。私的には、「マジですか?こんなに成長しているのに、見えませんか?」と感じます。しかし親からすると自分の子どもの成長というのは、非常に気づきづらいものらしいのです。反対に自分の子ではなく他の子どものこととなると、かなりの成長ぶりが見えるようです。私の教室の場合は大体もう一人他のお子さんとセットで来てもらっているのですが。「○○君すっごい変りましたね。」「何々ちゃんすごい成長しましたね。」と相手のお子さんの成長ぶりはよく気づかれますから、ポジティブなことが分からない親御さん達では決してありません。しかし自分の子どもとなると「成長していない」と感じる様なのです。
 ちょっと余談になりますがこれには国民性も関係しているかと思います。アメリカでは、療育した側から見て成長が比較的大きくなかった場合でも、「すごく成長した」と喜んでくれるご両親もいましたし、成長していても「成長していない」と感じられる両親もいました。「成長していない」とおっしゃられるお母さん方は大抵「優等生系」のお母さん方です。私の指導することをしっかり家庭でも守って療育してくれています。ですからもちろん成果も上がり易く、素晴らしいのです。ですが反面「優等生系」の悩みとしては、頑張っても頑張っても「まだ頑張りが足らない」と感じてしまうことです。私の恩師のマロット先生は、こういったことを、「Jewish mother(ユダヤのお母さん)」と説明していました。私はユダヤ教についてはあまり知らないのですが、子どもの頃にどんなに頑張っても「まだ頑張れる」と母親に言われて育ったため、大人になった時にどんなに頑張っても何となく自分自身で満足出来ない状態を言うようです。頑張り屋さんに育つのも苦労がいるということでしょう。アメリカが成功したのは、戦争でユダヤ教の人がヨーロッパからたくさん移住したからなんて言う人もいますよね。「ユダヤ教も日本と同じなんだ。」と思いました。そう言えば私の母親も、運動会で2番を取ったら「何で1番じゃないの?お父さんもお母さんも小さい頃はいつも一番だったよ。」と言いましたね。何てひどいこと言うんでしょう。Jewish motherならぬ、Japanese motherということでしょうか?
 まあ国民性の話は置いておくとして、自分の子どもは毎日見ているために成長が分かりづらいのは確かです。身長だって自分の子どもが大きくなったかどうか、わかりずらいですよね?でもたまに会う他の子どもは、「大きくなったな」と思う訳です。色々教えていても、何を教えていて何が成長して何を改善しなければいけないのか、分かりづらくなることも多いのではないでしょうか?療育の方向性をぶれないようにするだけでも結構大変です。療育の専門家に定期的にみてもらうのも、自分の子どもの成長具合を客観的に見てもらうという意味では非常に有意義なことかもしれませんね。

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