PECSの絵カードと自発の言葉

 本当に久しぶりにブログに帰ってきました。前回アップデートしたのが2018年10月とあったので、ほぼ2年ぶりですね。ブログは結構体力を使ってしまうので、子どもが小さいうちは中々難しいですね。ブログに関して言うと私は「がっつり派」と言うか、ついつい長文のブログを書いてしまうので、気付けばそれなりの時間を取られてしまっています。なんでこんなに言葉がたくさん出てくるんでしょう?私小さい頃は全然話すタイプではなかったので、私のイメージでは、私って無口な人なんです。家族が私以上に話す人たちだったので、気づかなかっただけかもしれません。大人になってアメリカで学生していた頃には既に「親トレーニングする時、ダダダダダ、って話すね。」とDr. Jim Carr(現在の国際認定協会のボスです)に言われたことがあり、ショックを受けました。「ダダダダダ」って、アメリカ人からマシンガン扱いにはショックでした。最近は講座などで2時間話す機会があっても、用意したスライドの内容からついつい関係あること・ないことペラペラ話してしまい、結局スライドが終わらない・・・。もうただのおばちゃんです。

 話すといえば、話さない人に使うコミュニケーションの1つにPECSというものがあります。昨日はスタッフとPECSの絵カードの整理をしました。PECSってご存知ですか?Picture Exchange Communication Systemの頭文字を取ってPECSなのですが、アメリカで発達してきた絵カードを使ったコミュニケーション方法の1つです。口頭で会話ができない人が、代わりに絵カードを使って話しかけることができる道具とその方法を言います。例えば、「チョコレートが欲しい」というメッセージを伝えるために、「チョコレート」の描かれた絵カードと、手のマークのついた「ください」のカードを使い、裏についているマジックテープで「チョコレートください」の文章にまとめて、伝えたい人にそれを渡す形でコミュニケーションを取ります。なかなか言葉が出ない発達障がい(例えば自閉スペクトラム症)の子どもが、この方法を使って言いたいことを伝え、コミュニケーションが改善するということが研究で明らかになっています。日本でもそれなりに広まっていて、青森に日本行動分析学会があった時には、「PECS使用できます」のような貼り紙のあるお店があったのを見て、発達支援と関係のない、まさかの世間一般に広まっているのかと驚きました。

 「スタッフと絵カードの整理をした」と言いましたが、PECSは絵カードの管理が難しいんです。コミュニケーションの初心者は、抽象的で一般性のある「おもちゃ」の絵カードを使うよりは、例えば「豚の貯金箱」の写真、「コロコロチャイム」の写真など、より具体的に本人の好きなおもちゃの写真などから始める方が分かりやすいです。でも、子どもの好きなものってその時によって変わりますよね。具体的になればなるほど、子どもの興味を追えば追うほど、絵カードの数が増えてしまいます。将来は文字だけで「おもちゃ」と書かれたカードも使えるのですが、そこまでの道は簡単ではない。写真を撮ってラミネートする作業自体もかなりの手間がかかりますし、どうしても絵カードや写真が溢れて、「使いたい絵カードが見つからない・・・」と言うことは「PECSあるある」です。

 最近は、写真の整理をする代わりに、iPadのアプリが登場しています。そうですよね。今時のデジタル化のご時世、現物の写真だけではないはず。写真を撮って保存し、iPadの画面上でドラッグして文章を作り、ボタンを押すと「チョコレート、ください」と電子音が代わりに話してくれる優れものです。(注:電子音はかなり「なまって」います。)ただ、代わりに話してくれると人間ってどうしても話す必要がなくなってしまいますよね。この音の機能は、Offにする方が良いと思ってます。

 実物のPECSを使って欲しいものを要求された場合、絵カードを受け取ってから顔の前でその絵カードを見せて「チョコレート、ください」と言ってから、それで要求された物を手渡すルールになっています。この数秒の待ち時間を「time delay(時間を遅らせる)」と言います。待ち時間に子どもが自分から先に話せば、すぐに欲しいものを手渡して良いのです。でも、言わなくても「チョコレートください」と言葉を言って(数秒待たせてから)欲しいものを手渡すルール。この数秒の「焦らし時間」が子どもに話をさせるのに重要な役割を果たします。絵カードに頼るから話さない・・・そんなことはないんです。PECSって実は自発の言葉を増やすものとして研究結果も出ているものなんです。でも、「じらしタ〜イム」が重要なのです。人はコミュニケーションに成功しないと話すようにならない、でも、楽してしまうだけでもやはり話すようにならない。人って難しいですね。

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