ドレミの歌に見る教え方

 所沢出張の帰りに所沢駅に立ち寄ると、新しい駅ビルが完成していました。所沢に突如「デデーン」と音を立てそうなほど立派に登場した駅ビル!ビルの壁には巨大スクリーン、ちょっと前まで寂しかったバス停の中のアイランドからは、プロジェクションマッピングが駅ビルに放映され、ディズニーっぽいミュージカル系の音楽が駅を通る人に向かって攻撃的にガンガン流れ、ド派手!そこがちょっと名古屋っぽい。ビルの中はおしゃれな店が立ち並ぶというのに、音楽のすごさで、なぜかパチンコ屋の雰囲気もある。しかもよく聞くとミュージカルの音楽は「すみやすいまち~」と所沢についてオリジナルミュージカルになっており、驚いた。それって・・・必要?そう言えば新所沢駅近くの焼き鳥屋は、所沢オリジナルの所沢音頭っぽい音楽がいつも流れている。いつか入ってみたいが、その音頭が頭から離れられなくなりそう。地元愛があふれる街ということか?まだまだ知らないところが多い町なことは確かだ。
 ミュージカルと言えば、子どもを連れてサウンドオブミュージックのコンサートに行ってきました。小さな劇場でしたが、どんなに小さくても、やっぱり文化に触れるのは良いですね。うちの家内はアメリカで特別支援の教員をしていましたが、サウンドオブミュージックの中でも特に有名な「ドレミの歌」は、教え方のツボが詰まっていると言う。音楽を忘れてしまった子どもたちに音楽の楽しさを再び教えるという設定でしたよね。そういう目で見たことはなかったが、よく見たらその通りだと気づかされました。
 どの辺が正しい教え方なのかと言うと、まずは1)教える内容を簡潔に紹介します(英語はABCで始まるように、音楽はドレミで始まる)。やはり紹介なしでは何を教えようとしているのか、意味が分かりませんね。しかしたくさん口で説明しすぎると逆に分かりづらくなってしまうので、簡潔に説明するところが重要ですね。次に、2)ドレミをかみ砕いて教えるために、「ドはドーナツのド(英語バージョンはちょと違うが)」と楽しい歌にして説明します。こういった工夫が、子どもを題材に対して興味を持たせる重要な努力になります。そして、3)その歌のお手本を歌って見せ、真似をさせます。最初は真似からです。次に4)子どもたちに自分達だけで歌わせます。徐々に先生がやるのではなく、自分達だけでも教えたことを実際に使うように仕向けていきます。もちろん、5)真似する段階でも、自分で歌わせる段階でも、できたらほめるということは重要になります。そして最後に、6)ドレミを覚えたら、それを応用させることも練習します。この場合、「ソー、ド―、ラー、ファー、ミー、ドー、レー」、などに発展させます。もちろんできたら、褒めます。
 こういう教え方は、実は科学的にも何度も証明されているような手法ですし、発達に特別な支援が必要な子どもの教育でも、毎日使うものです。。実は特別支援をやっていると、それにもう一つステップを足すことが必要になります。それは、「計画した教え方通りに子どもが成長できなければ、さらにスモールステップにして、かみ砕いたり分かりやすくしたり工夫する」ということです。特別な支援とは、「なんでわからないの?」と子どもを責めるのではなく、子どもにわかるように教えてあげることなのです。
 最近の学校教育では、先生が教える際にかみ砕いて分かりやすく教えようとしたり、練習させたり応用させたりする時間が(本当の教育をする時間が)無くなってしまっているような印象もあります。しかし、何十年も前のミュージカルに出てくるぐらいなのですから、(科学的な証明がある前から)いつの時代にも良い先生は良いやり方で教えていたのかと思います。こういった良い先生を世の中に出来るだけ増やしていくことが、私の目標でもあります。

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