地域でする教育:ABA般化

 高校時代からの友達のエイちゃんとカフェに行きました。「カフェ」って言われて、「コーヒ屋さんのこと?」と思いつつ、そう言えば、テレビを騒がせたどっかの犯罪者も「猫カフェ」って言うのに行っていたなあとぼんやり思い出しました。ごはんも食べられたり、お酒が飲めるところもあるんですね。カフェだけを紹介した雑誌やブログもあるらしい。やあ、少しいないと日本も変わる(ああ、12年いなかったか)。そこのカフェは春日井市のベル何たらさん(すいません名前覚えてなくて)。経営者一人だけで注文取りから料理まですべてこなしていました。美味しかったですよ。小洒落た内装も個人でやられたのでしょう。私も個人経営しているから、そういう人がんばって欲しい。
 ところで学校の先生をしているエイちゃん、生徒のお母さんに「挨拶運動はしないんですか」という声をかけられたと話していました。「挨拶運動」という言葉自体がなつかしい。私は、挨拶などの基本的な作法は家で教えるものと思いますが、家だけで挨拶を教えるよりは、地域が一体となって挨拶をもりあげる方が、家で挨拶する子どもではなく、家と地域両方で挨拶する子どもを育てられる。ABAではこういうの、「般化」っていいます。行動を色々な場所で起こるようにする。学校が躾作法の教育を手助け出来る良い例だと思います。
 自閉症の教育にも地域の協力が本当に大切なんですが、自閉症児に対してどう接すれば良いのか、一般の人には分かりづらい。自閉症の子どもは顔が可愛かったりするもんだから、顔だけ見ていると健常児でわがままなだけに見えてしまうので、公園やスーパーで泣いてしまっていると、「躾が悪い」などと親が非難されてしまったりするんです。自閉症を知らないところから来ることなので仕方の無い事なんですが、協力どころか非難される経験があると、親も外に出づらくなってしまい、ますます自閉症児が地域で目に付かず、一般の理解はさらに深まらないという悪循環になりやすいんです。
 私のアメリカの相談を受けた親からこんな話を聞きました。自閉症の子どもが、外出先のバス停でバスが遅れてきたためにパニックになって、周りの人から大ひんしゅくを受けた。周りの人に「私の子どもは自閉症で、特殊教育に行ってって」って説明してやったけれど、 理解は得られなかった。このお母さんは偉いですね。障害をちゃんと他の人に説明しようとするそのパワーがすばらしい。でも、そこまですることはお勧めできない。
 一般の理解は、人の考え方はそれぞれなので、理解してくれない人がいるのは仕方の無いことです。ただし周りからの理解を少しでも得ようとするのであれば、私がお勧めするのは、人前でも恥ずかしがらずに「子どもに何が大切なのかしっかり説明する。大切なことが出来れば、しっかりと褒めてやる。」ことで、何を教えているのか周りに知らせることです。例えば、バスが遅れてくる等と言った予定が変わる事、予測出来ないことが起こることに対して、パニックを起こしやすい子どもがいるとします。バスが来る予定時刻の前から、「予定ではこの時間に来るよ。でも、バスはいつも時間通りに来る訳ではないよ。その時はどうするの?そうだね。お話ししたりして、時間をつぶせば良いよ。予定が変わっても、ちゃんと行き先に行ける?そうだね。時間が遅れても大丈夫。ちゃんと行き先に行けるよ。」などと周りの人にも聞こえるように話す訳です。バスが遅れてきた時には、「偉いねえ。良く待てている。何のお話ししようか。・・・お話をする・・・ほら、バスが来なくても楽しい事もあるよね。」などと説明する。これをしっかりしておけば、子どものためにもなるし、周りの大人も「ああ、この子はバスが遅れてくるのは待てないから、教えているんだ」と分かりやすい。「この子は自閉症だから、バスが待てなくて・・・」って説明する必要はないんです。っていうか、バス停で会っただけの人に診断名まで知らせる必要ないでしょ?これだけ説明しても分からない人には、言ってもわからないと思うので、諦めるしか無いですが。
 公園でも、子どもの良い行動を一つ一つ褒めてやる。例えば、「す・す・そう、スコップ言えたね。」「欲しい、って言えたね。」「これは?そう、滑り台。知ってるね。」「やったー、ブランコこげた。」などと褒めていれば、他の親からもその子どもがどんな事を今学んでいるのか分かりやすい。周り人にも、「あれ?ちょっと褒めている内容が違うかな。」という程度の印象を与えるかもしれないけれど、悪印象はないですよね。親が子どもを褒めているのを聞いて、心地よくない人ってのはあまりいないものです。しかも、何かあった時にも協力を得やすい。その子が突然他の子どものオモチャを取ってしまったとしても、「欲しい、ってきくんだよ。欲しい、って言ってごらん。」って教えていれば、取られた子どもの親としても「ああ、手を出す前に、欲しいって口でお願いする事を今教えているんだ。」、って理解しやすい。わがままな子どもと、躾のなってない親と判断されてしまいにくい。親が子どもを褒めて教えている所を見ると、つられて真似したくなってしまう場合もあります。他の親も、つられて自閉症の子を色々褒めてくれたらうれしいし、自閉症に限らず他の子どもも褒めてくれたら良いですよね。地域全体で子どもを褒めて育てて行く習慣ができれば良いですね。

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