投稿

7月, 2013の投稿を表示しています

ABA:フリーオペラントの理論

 今週末は「日本行動分析学会」年次大会に出席してきました。前回も報告した通り、まだ「ぎっくり腰」になって長くないので、無理しない程度に参加しました。やはり長いこと座っているのが辛いので、長時間の参加は避けましたが、色々と収穫もありましたね。シンポジウムでは「『罰なき社会』を再考する」で発表されていた方たちの中でも、特にドッグトレーナーの山本央子先生のキャラが個人的には面白かったですね。話し出したら止まらないタイプというか、時間が過ぎてもガンガン喋りまくってましたね。話題が話題だけに熱くなるのも当然ですけどね。しかし首輪やショックを使った罰ベースのトレーニングが日本では頻繁に使われているとは、全然知りませんでした。ペットを人間以上に溺愛している人が多い世の中、ちょっと驚きですよね。罰を使わずに有効なトレーニングを行えるという情報自体がもっと広まらなければいけませんね。でもまあ子どもの教育現場でも同じと言えば同じですかね。残念ながら、なかなか体罰がなくならない。杉山尚子先生がスキナーの過去の発表等を踏まえて、理論的な分析・説明も発表なさいましたが、「罰という行動をなくすにはどうするのか」、ということを社会の行動として分析・理解し、変えて行こうとする試みも大切だと思います。  さて理論も大切だなあと思った時点で、ここ何回かディスクリートトライアル、NET(自然環境でのトレーニング)、自発トレーニングの話をしてきましたが、今回はちょっと掘り下げて理論について話します。これまでディスクリートトライアルは、「指示に従う」行動を教えることに有効であり、色々な行動を教えるプログラムが、教える側のタイミングで調節出来る(学側の行動を待たなくても良い)という点で非常に使い易い方法だということを話しました。研究の流れとしてそれに反して出てきたのが、PRTなどを含むNET(自然環境で行うトレーニング)ということも言いました。しかし、行動分析の理論的に言えば反対は「フリーオペラント」と言います。実はPRTやNETという新しい名前を使わなくても、ディスクリートとは反対になる理論的な方法があるので、これを少し紹介します。なぜここで理論を紹介するかと言うと、私たちは科学として色々な行動の理解をして、今後も色々な療育に有効な方法を開発し、評価していくわけです。理論という大きな背骨・木で言えば幹に当

療育で孤独に戦う親

 突然ですが、ぎっくり腰になってしまいました。それも何となく徐々に痛くなったので、きっかけというようなきっかけもなく、原因が指定しづらい。まあ生徒を持ち上げてクルクルして」回したりしていたからかなあ。合気道や水泳もするから、運動不足ではないはず。変わったハキングシューズもはいてみたから、そのせいかも。いずれにせよ腰に負担をかけると痛い。くしゃみをしても痛い。次第に何もしていなくても重くてつらくなってきたので、ヤバいかなと思って接骨院に行って治療をしてもらいました。  氷で冷やした後に、電気の治療をしてもらっていたら急激な痛みが襲って来て、人前なのに「痛、痛、痛!」と言っていたら後で院長先生が針を打ちにきてくれましたね。別に治療をしてもらったから痛くなったのではないのだろうけれど、ちょっと怖くなりますよね。治療後は何もしていなくてもかなり痛くなり、朝方までほぼ眠れませんでした。次の日は何もしていないのに、痛み止めを飲んでいるのに、それでも痛い。何もできない。ということで滅多に休まないお仕事もお休みして療養しました。生徒の皆さん、すみません。でも痛みは人に伝えづらいですね。今日はやっと痛み止めなしでも良くなってきましてブログなんか書いていますがが、それでも長い事椅子に座っていると痛いので、寝ている事が多いですね。寝てるばかりで何も出来ないのは本当に退屈です。動いてるときは、「ああ、疲れた、一日寝ていたい。」と思っているのに。   でも、ぎっくり腰くらいのメジャーな障害になると、別に大した治療法がある訳ではないのだけれど、色んな情報がすぐにインターネットで手に入りますね。しかも、どれを見ても大体同じ事が書いてあるので、情報を疑う余地もあまりない。接骨院もすぐに行きたい所がみつかるし、他の人からも理解が得られる。これはありがたい。ここ最近やっとメジャーになってきた自閉症とは違いますね。本当にインターネットでも情報が掴みづらいと思ったからこそ、私もウェブやこのブログを作りました。出来るだけ科学的で、最新の情報を提供するようには心がけていますが、私の情報が的確であるか、自分の子どもに合うかどうか、結局の所は親が判断しなければなりません。だからこそ、誰に話しても理解を得られない、だから話せないという悩みは本当に辛いと思います。  お母さん方の話を聞くと、 「うちの両親はあま

ABA: 自発訓練(プロの秘密)

 突然暑くなりましたね。名古屋では38度とからしいですよね。私は名古屋を出てから20年くらい経って久しぶりの夏なのですが、20年前とは明らかに気候が違いますね。昔38度なんてなかったですから。この温度にこの湿度。不快極まりない。昼間は絶対にクーラーから出られませんね。でも夜も辛い。昨夜クーラーにタイマーをつけて寝てたんですが、当然ですがタイマーが切れると暑さで目覚めました。ちょっと窓を開けて寝ようと思って電気をつけて、窓を開けて、電気を切ってベッドまで戻った時点で、これだけの運動で汗だくになりました。それも全力疾走でもしてたんじゃないかと思うぐらいの汗です。結局またクーラーをつけて寝ました。夜の暑さを甘く見てましたね。テレビを見ていたら、原発の問題でコメンテーターが、「夏も打ち水をしたりすることで涼しくしてクーラーを控えめにしたり、電力の省エネしよう」なんて言ってましたが、日本に住んでいた事があるんだろうか、この人は。年寄りがクーラーを省エネして倒れたら責任取れるんだろうか。「がまんする」ということを当たり前のように人に期待するのはちょっとどうかと思います。私は我慢しません。人にも期待しません。  さて前回までディスクリートトライアル(DTT)と、自然環境でのトレーニング(NET)について話しましたが、今回私がやっている事についてちょっと紹介します。私は自発訓練と呼んでいます。ディスクリートトライアルをしていくと、子どもに「指示に従う」ということを上手く教えられます。ただし、子どもが自分から動機を持って自分で行動するという自発性は教えられません。ディスクリートだと訓練は指示を出した時から始まるので、当たり前と言えば当たり前ですよね。自発訓練は逆に、いつ何をするのか子どもが決定する状態を作るので、指示を出さない訳です。「ええ?」と思いませんか?子どもが正しい行動をするのを待っていては、教えづらい。結局子どもが何か悪い行動をしてから、「こうしなさい。」とプロンプトで矯正する感じになってしまいやすい。NETを唱える教科書等ではここの具体的な例がないので、どうしたら良いのか分からない。NETの一つであるマンドトレーニングなんかをすると、自発性をかなり教えられます。でも、通常のマンドトレーニングだけでは、「ちょうだい」とか、物や活動を要求することだけに終止してしまいがちです

ニュース

私からのニュースです。 1)10月18日(金)に愛知県稲沢市で公開講座行います。発達障がい児を持つ親の会「スモールステップ」さん主催で、ABAの基本と応用について、10時から12時までの2時間で参加費用は千円です。もう少ししたら詳しい内容をwww.kojitakeshima.comの方でお知らせします。 2)福岡方面まで足を伸ばして、月1回出張相談おこないます。新幹線沿線の方で興味のある方はkoji.takeshima@yahoo.comまでご連絡ください。

ABA:自然環境で行われるトレーニング(NET)

 昨日名古屋では一人というマスターソムリエのいるお店に行ってきました。彼一人でシェフ、給仕、ソムリエのすべてをやってしまう(彼だけで経営)ので、すごく小さくて、しかし良心的で(安くはないが、意外に高価なワインではない)、隠れ家的な小さなお店ですね。私はカリフォルニアのワインは結構飲んでいましたが、フランスのワインはあまり知らないので色々勉強させてもらいました。私の所もセラピー、親教育から、プログラムの作成、教材の準備、おやつの用意、掃除まですべて私一人でやっているので、全然違う商売なのですが何となく親しみを感じられます。ということで今回、ワインを飲みながら書いているので、少しいらないことを無意味に話しても勘弁して頂きたい・・・相変わらずいい訳ばかりしているという気もする。  前回ディスクリートトライアルについて書きました。これを批判する感じで生まれたのが自然環境でのトレーニング(Natural Environmental Training: NET)で、今回はこれについて話します。基本的にディスクリートのようにテーブルに子どもを座らせて勉強させるような形態の療育ではなく、自然な生活の流れや遊びの中で色々なスキルを教えていくものです。インシデンタルティーチング(Incidental Teaching)とか、ミリューティーチング(Milieu Teaching)とか、PRTとか、VB(Verbal Behavior:言語行動)のマンドトレーニングとか、ABAの中の色々な方法を含んだ療育方法への総称ということです。今あげたそれぞれの療育法がABAの中で研究されて、効果をあげている。どっかで言いませんでしたっけ?ABAって行動の原理を応用させて人間の生活を改善するものすべてが含まれるので、それに基づいて色々な療育方法が生まれるんです。もちろん、今挙げた療育法だけではありません。ABAは一つの療育方法と考えておられる方が多いのですが、それは間違いですので、気をつけて下さい。  中でも一番良く知られている例はPRT(Pivotal Response Training、ピー、アール、ティーと呼ばれる)というものですが、アメリカでは有名なテレビ番組でも紹介されました。「スーパーナニー」ってご存知です?「ナニー」と言うのは子どもの面倒を見る人のことを言うのですが、一般の家庭で近所