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ABAと夏休み:頑張りと楽しみのバランス

  夏休みもそろそろ終わりに近づいてきました。夏休み、お子様をお持ちの皆様は楽しめましたでしょうか?コロナになってから数年になりますが、今年の夏休みもコロナの第七波とがっつりかぶってしまいましたよね。特に8月からは感染者数が多くなり、もっぱら近くの河原ばかりに出かけて虫を取ったり、自転車の練習したり、運動したり。今年は幼虫から成虫になったばかりの白いセミも見つけました。バッタもトンボもいっぱい捕まえました。子どもに、どこに行きたい?と聞くと「河原」と即答するところがかわいいような、可愛そうなような。  ABAをやっていると、特に早期集中介入というのは、1日6時間を週に5日とか、とにかく起きている間中集中して学習させるために時間を使う。だから、ともすると楽しむ時間なんかないような勘違いをされる場合もあるのですが、実は必ずしも「介入(療育)=辛くても頑張る」ということではなく、理想的には「介入(療育)=楽しみの中に頑張りが散りばめられている」状況になることなのです。ちなみに私の指導教官は、「強化子の海で泳いでいる状態」が療育であるべきだと話していました。まあそれは現実的ではないにしても、できる限り楽しい方が良い。  発達に遅れのある子は、何事にも苦手意識が強い場合が多く、特に無理にやらされそうな匂いがするだけで、逃げ出してしまう場合もあります。例えば運動神経の良くない子どもの体力を伸ばそうと思った場合、苦手でもやはり運動させてあげて体力を伸ばしたい。しかし、とにかくダッシュの練習だ!と嫌がる子どもを走らせるのは、苦手意識をさらに強めてしまうこともある。走ることが目的ではなく、大好きな虫を捕まえるために自然にダッシュをしてしまうようなやり方の方が、特に運動が苦手な子どもには向いている。療育も同様で、できれば子どもの楽しい活動をやりながら、その中に頑張りの部分をバランス良く散りばめたい。ただし難しい点は、「子どもの楽しい活動の中に」といっても、発達障害(特に自閉の診断)があると、そもそも楽しい活動が中々見つからないことが多い。特に人と一緒の活動は、輪をかけて苦手な場合も多い。だからこそ、夏休みのような時には特に、人と一緒にやって楽しい活動を体験して、その喜びを見つけることにも時間を使いたい。  また、早期集中が終わって小学生に入ってからも、当たり前ですが、子どもってすごく伸

強度行動障害に対する行動分析学からのアプローチ

  しばらく前にも紹介しましたが、先のABAサービスと名乗る人物による傷害事件が起きたことにより、行動分析学会が7月31日に無料のオンライン公開講座「強度行動障害に対する行動分析学からのアプローチ:より正確な情報提供のために」と言うものを発信しました。それが100名限定ですぐに埋まってしまったとのことで、その後にオンディマンドでも視聴できるようになり、私も視聴させていただきました。  講演内容が良かったです。2時間半くらいの動画なのですが、はっきり申し上げて内容は難し目です。ABAを専門とされていない方が、最初から最後まで全部見ようと思うと挫ける場合もあるかと思います。しかし中でも武藤先生の話は非常に分かりやすく具体的で、ABA専門の方でも興味を持って視聴していただけるかと思いますので、興味はあるけれど挫けやすい方や時間のない方は是非とも武藤先生の部分だけでも視聴されると良いと思います。  武藤先生のご講義は、容疑者の方(…方って敬語を使う必要が?でも、まだ疑惑が確定した訳ではないので、犯人扱いはダメですよね。)の、youtubeにアップされているその方の講義の動画を出しならが、それを丁寧にABAの視点から解説されていました。講演会のようなこともたくさんやられている方なんですね。その方は、動画の中で非常にたくさんのABAの専門用語を使って講義をされているようで、それなりに勉強はされている感じでした。部分的にはABAの専門家から見ても「そうだよね」と言えるところもあり、何がおかしいのかな?と言うところから始まって、徐々に「ええ?それは違うんじゃないの?」となる部分が出てきて、また「その古い情報で…」と言うところもあり。普通に考えたらABAを使って「生徒に暴行」ってことはあり得ないのですが、結局は、ご自身の独自のセラピーのやり方を確立されており、それをABAの専門用語や専門書を引用して「正しいもの」と理論武装しているだけで、実際の「ABAのやり方・スタンダード」からは、かなり外れてしまっているものになっているようでした。  ABAの中でも「自己流」はある程度部分、あって良いかと思っています。しかし、それが「本筋」からあまりにかけ離れて元のものが分からなくなると言うことも、可能性としてはあることかと思います。私自身も、ABAの理論に基づいて、私なりの療育をしている部分もあ

読書感想文ってどう書くの?:課題図書から感想文へ

  うちの「思考表現のクラス」の7月の課題は読書感想文でした。今回選んだのは課題図書の一つでもある「ぼくの弱虫をなおすには」を選びました。1976年のアメリカのジョージア州が舞台になっていて、登場人物がトレーラーハウスに住むという状況設定や、黒人の人種差別がテーマになっていることなど、どうしても日本人には馴染みが薄く入りにくい感じかなと思っていたのですが、違いました。登場人物がちょうど4年生から5年生に変わる時の、思春期前の子どもの気持ちが上手に描かれていて、「いじめ」「怖いものの克服」「友情」など、文化を超えて共感できる内容が読んでいる日本の子どもにもすんなり入ってくるのは、翻訳の方が上手いんでしょうね。大人も楽しめました。とてもお勧めです。  トレーラーハウスという、日本で言えばプレハブとか小さな集合住宅的な、低収入の家庭が住むイメージのところに住む主人公、怖いものがいっぱいあって、イジメられがち。親友と一緒に怖いものをなくしていこうという設定。子どもの時ならではの、冒険的な楽しさもあり、怖いものもたくさん出てきて、最後まで目が離せない。私のところに来るような生徒さん、やっぱり挫けやすくて、怖いものもたくさんある子どもが多いです。主人公に共感できることもたくさんある。  教室で読書感想文をするときには、1つ1つの章を読むごとに、感想を言ってもらいます。どんな下らない意見に思えても良いので、まずはその時々の気持ちを口に出して、それをノートに(付箋に)書き留めて、気持ちを残していく。最後まで読んで「感想」と言われても、その時の気持ちを忘れてしまうことが多く、まずは付箋にノートとして残して、気持ちを形に残すことから始めます。  KJ法って知ってますか?ビジネスとか研修とかでよく使うもので、皆の意見を1つ1つ付箋にしてホワイトボードに貼っていく。それを同じようなもの同士グループにまとめて行くんです。なので、自分の感じた気持ちの中でも、同じような気持ちをグループ分けしていくと、全体としてまとまりのある感想文の骨格が出来上がる。やはり最初のうちは、大人がそのグループ分けの部分はお手伝いが必要になります。感想文ですから「子どもの気持ち」を大人が勝手に考えてしまうようなお手伝いは良くない。でも、最初からまとまった構造の感想文なんてかけるわけがないですよね。こうやって自分の頭の中