ABAと遊び中心の学習

  9月から私の子どもを転園させました。家庭の諸々の事情により、今までは送り迎えと給食のついた(親にとって楽な)幼稚園に行かせていました。親の余裕が少し出てきたので、送り迎えも給食もなくても、親にとって納得のいく教育をしてくれる幼稚園を選びました。転園前の幼稚園は規律を重んじる幼稚園で、転園後は遊び中心の遊んでばかりの幼稚園。子どもにとっては大転換です。通い始めて3日で違いが出ましたね。前の幼稚園に送り迎えに行くときは、うちの子喋らないんです。私が時々信号無視すると「赤だよ」と教えてくれますが、それ以外はほぼ無言。新しい幼稚園に変わって3日でよく喋るようになりました。「こんなに喋る子だったんだ」と思います。よっぽど緊張して幼稚園に通っていたんでしょうね。

 ABAは、特にDTTという机上のレッスンをやる時は、「コンプライアンス」と言って先生の言うことを聞いて、その指示に従うことを教えます。なのでABAをやっていると規律を大切にするイメージが一般にはありますかね。でもABAには遊び中心のセラピースタイルもあり、どちらが良いとABAの中で決まっている訳ではありません。どちらも教え方のツールなので、場合に応じて適切に使うことが望ましいのです。ただ、遊びを中心に教えるのは、教える側の高度なスキルが必要です。「ただ遊んでいるだけ」に見える中にどれだけ学習の要素を取り込むことができるのか?上手なセラピストほど、ただ遊んでいるだけにしか見えません。特に自閉の子どもは興味の幅が狭く、同じことを繰り返してしまって遊びが広がらないのが一般に障害の特徴ですから、どうやって遊びへのモチベーションを高めるのか?どうやって遊びを柔軟で広がるものにしていくのか、セラピストの腕が試されます。

 一般教育でも同じです。私の子どもの幼稚園も、「ただ遊んでいるだけ」のようで、実はそこに先生方のスキルが光るものがあります。例えば生活発表会でも、私の子の通う幼稚園では、子どもが発表の内容を全部決めるんです。子どもたちが脚本家になり、自分達の好きなものをみんなで作り上げる。これを成功させるには、子どものモチベーションを上げる力、皆の意見をまとめる力など、先生には高度なスキルが必要です。名古屋でも一番と言っても良い歴史のある、有名な幼稚園です。昔は家柄の良い家庭しか子どもを通わせられなかった幼稚園だったと聞きます。しかし、今は送り迎えなし給食なしということで、定員割れです。こんな良い幼稚園が保護者に人気がないなんて「みんな、教育を見る目がないな」と思います。親に余裕がない事情もよくわかりますが。

 うちの子どもも、遊び中心の教育でよく喋るようになりましたが、学習の進み具合は、自発の行動数に出ます。言われたことをするだけの受け身の学習を中心に行うと、自発の自由な発想、思考、発言などの機会がないので、自発の行動・発言が減ります。一方で、本当に上手な教育を行うと、遊びも「こうしよう」「あれもしてみよう」とどんどん広がりますし、自分で話す内容や数も増えます(自由な発想が培われたと言って良いでしょう)。自閉のお子様には特にこの自由な発想と発言の広がりが非常に大切です。受け身型のセラピーも学びの最初の一歩として非常に役に立つことが多いですが、長い目で見ると遊び中心のセラピーも非常に重要になります。

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